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Posted by チェスト at

2009年08月18日

We in evening.



『わぁ、見て!とってもきれい』
助手席の彼女の声に目を向けると
そこには泣けそうなくらい奇麗な夕日があった。

お盆休みを少しずらして、彼女とちょっと遠出をした。
その途中、ほんの些細な事で、僕らはケンカしていたのだった。
帰りの車内に響くのは、僕がお気に入りの曲ばかり。
彼女は無表情で助手席に座っていたのだった。

『本当だね。とっても奇麗だ』
普段、あまりそういった事を口にしない僕でも
つい言ってしまう程、本当に奇麗な空だった。

『ねぇ。本当にキレイ。そして今日はごめんね。ありがとう』
彼女がぶっきらぼうに言う。
ちらりと見ると、夕日に照らされているせいか
頬が赤く染まっていた。

まったく、彼女は素直じゃない。
僕もそうなのだけれど。

『うん。またでかけようね。似た者同士で』

彼女は僕の声が聞こえなかったかのように
車窓を見つめる。

こんな風だから、彼女とは一緒に居られるのかもしれない。  

Posted by nico at 22:34Comments(0)

2009年08月03日

Will you eat the candy?



『飴、食べない?あんまり美味しくないけど』

はらはらと涙をこぼす彼女を見ていられなくなって
僕は飴を差し出す。

パッケージがかわいい異国のお菓子。
小さい頃から慣れ親しんだ味とはちょっと違って
不安定な僕にぴったりだと思う。

つぶらな瞳を真っ赤にはらして、彼女が僕を見る。

『どれくらい美味しくないの?』

鼻声の消え入りそうな声で彼女が尋ねる。

『美味しくないって表現はよくないんだけど
 なんだか慣れない味。かな。』

わけわかんない。と彼女がようやく笑った。

わけわかんない事ばっかりだけどさ
僕は彼女に笑っていて欲しいんだ。


僕にできることは、飴をあげることくらいだけど
僕にとって大切な人が笑う為なら僕はなんだってしよう。  

Posted by nico at 23:01Comments(0)